勉強会NOTE  

<勉強会記録ですので、内容については個人判断でお願いいたします。事故が起こりましても責任は負いかねます。>

2005.3.28 OHP第6・13支部合同研修会

小児救急の連鎖
八尾徳州会総合病院小児科・大阪医科大学小児科 医師 新田雅彦先生

小児救急と特徴

・6歳未満がほとんど。0〜3歳が特に多い
・急性疾患が多い。上気道炎・胃腸炎・喘息・・・・ 2000年小児喘息ガイドライン普及後激減した
・夜間の受診が多い。症状の悪化もあるが、社会的環境要因(仕事・保育園から帰宅後・父親の帰宅を待って、など)もあるかと。
・Nsのトリアージ分類で軽症と分類したグループにも100人に1人は重症例が隠れているという報告あり。

症状における薬剤の使用法
■発熱における対処法

・夜間当直時電話で「もしもし、子供が急に熱を出したのですが、半年前にもらった坐薬を使っていいですか?」
「こんなときどうしたらいいですか?」この質問は薬剤師に聞かれても困るが、医師にきかれても困るのだそう。
「こうしなさい」と指示するのはトラブルの元となるので「受診されてはいかがでしょうか」とアドバイスするのがベスト。親御さんの話を聞いてあげるだけで落ち着かれることも、大事なことは、親が普段から子供の様子を観察し、これはいつもと違うな、と判断することが重要です。そして「何があってもこの子は守る」という心構えも重要です。
対処法
・安静に休める環境を作る
・水分を十分に与える (子供は細胞外液が多いので水分バランスを崩しやすい)
 糖分・塩分・ミネラルの入った飲み物 可能なら経口補液剤の使用 スポーツドリンクを過信しない (小児は低張性脱水を起こしやすい)
(アメリカでは医原性の低ナトリウム血症で死亡例有り。)
・栄養補給  (三歳未満の児は半日飲まず食わずだとぐったりしてしまいます→ケトン血症をおこし、自家中毒をおこす)
・身体の清潔を保つ
・体温の管理
体温の管理
・熱の高いときは身体を冷やすことが原則。ただし悪寒(手足が冷たい)ときは観察しながらまず温める。
 湿らせたタオルで身体を拭く
 タオルで包んだ氷嚢・アイスノンを首・わきの下・マタに置く  これで体温が0.5〜1℃下がる。
 冷えぴたシートは体温低下効果なし(2000年 研究データあり)、ただし、精神的効果はあり(何かしてあげた感・何かしてもらった感)。
・グッタリしたり、体力の消耗激しいとき
 解熱剤 アセトアミノフェン (世界標準で安全といわれています)
☆冷やし方が分からない親御さんもおられます。
発熱時の病院の受診
・生後3ヶ月ごろまでの発熱は すぐ小児科の病院へ。
・熱が(冷やしても、解熱剤使っても)なかなか下がらないとき、随伴症状(嘔吐・咳など)あるときは小児科へ。
・意識がおかしい(けいれん・うわごとを言う)ときは救急車で病院へ (A型インフルエンザでおこる脳炎の初期症状に意識異常がある。)

熱性けいれんについて
1995年「熱性けいれん指導ガイドライン」
・通常38℃以上の発熱 熱が刺激となってけいれんを引き起こす
・好発年齢6ヶ月〜6歳・中枢神経感染症(可能性髄膜炎等)、代謝異常(低血糖等)、てんかん、その他明らかな発作の原因疾患・異常のないものをいう。
・有病率は7〜8% (乳児検診、学童検診)
初期症状は驚くが医学的には軽い症状であるので、医療スタッフと保護者との考え方のギャップが大きい病態である。

緊急に医師受診が必要な場合
・初回発作・とくに1歳未満の場合
・発作が10分以上続くとき
・短い間隔で繰り返し発作が起こり、この間意識障害が続くとき
・身体の一部の発作、または全身性であるが部分優位性のある発作
・発熱、発作に加えて他の神経症状を伴うとき(遷延性意識障害、麻痺など)

家庭での対処法
・あわてない。おつちいて。たいていは5分程度でおさまります。
・歯を食いしばっているときでも口の中に指など物を入れないこと。嘔吐して窒息することがあります。
・体温を測定し、発作の長さと症状(左右差、目の動き)
・頭を身体よりやや低くし、仰向けして顔を横向けにし頭をそりぎみに。吐物・分泌物は取り除く
・元に戻るまでそばにいる
熱性けいれんの予後
・過半数は1回しか発作を起こさない。
・初回経験した児の再発率は25〜30% 再発時期は初回発作後1年以内 70%  2年以内 90%・・・・2年までは予防投与も考慮。
・神経学的異常、発達障害を認めなければその後大きな神経学的異常を来たす事はほとんどない(例外はあり)
・熱性けいれん児におけるてんかんの発症率 5〜7歳までに 2〜3% 10歳までに4.5% 25歳までに7%
・繰り返したり、けいれんが長いときは重篤です。
・熱性けいれん患児の同胞における発祥の危険率 両親とも熱性けいれんあり 40%〜80% 片親のみ 20~30% 既往なし 20%
再発予防
・発熱時にダイアップ坐剤を応急投与が望ましい場合
 15~20分以上の遷延する発作が過去に1回でもあった場合
 過去に発作を2回以上発作を経験している
 短期間に発作が頻発する場合 (例 半日で2回、半年で3回、1年で4回以上)

水分補給法・経口補液療法
◆発熱や下痢のときポカリでいいの? 
経口電解質液の理想Na濃度は60mEq/L、浸透圧は240〜250mOsm/L。
ポカリスエットは         30         、      297  
なので、水・ナトリウムが吸収されにくい。
実際にスポーツドリンクを多飲することにより、希釈性の低ナトリウム血症や水中毒に陥ることもある。

だがしかし、現在市販されているソリタT2顆粒は飲んでくれない・・・飲む子は10人中4人。
                    ソリタT3顆粒はしょっぱい・・・・・・飲む子は10人中7人。

薬物誤飲

・321症例中、 固形物誤飲33% たばこ誤飲29% 薬物誤飲20%・・・・
上症例中のタバコ+薬剤の157例では、タバコ59% 医薬品17% 洗剤5%・・・・
・1〜2歳に症例数のピーク、14歳にまたピークあり
・3歳までの薬物誤飲に多いものは 「三日分を1回で飲んでしまった」
14歳15歳でのピークはアセトアミノフェン中毒など自殺意図。
・小児の薬物誤飲には、乱用薬物スクリーニング検査キット トライエージ(R) (成人用)は反応出ない。
なぜなら尿中濃度が低くて検出限界以下。→血中濃度測定が頼りとなる。

小児の一次救命処置 「こどもは1分間蘇生させてから救急車を呼ぶ!!」
   PALS  と 題名についている救命講習は受けておきましょう。

PALSとは・・・
Pediatric Advanced Life Support(PALS)は米国心臓協会(AHA)が米国小児科学会(AAP) などと協力して提唱している小児のための高度救命蘇生法。日本小児集中治療研究会(JSPICC)が日本でのAHAのITO(International Training Organization) として認定。
(筆者註 参考 http://www.aafp.org/afp/991015ap/1743.html (英文))

心停止の原因 成人は不整脈、小児は低酸素

・一次救命のABC   Airway 気道確保  Breath(呼吸) 人工呼吸  Circulation(循環の)  心臓マッサージ
・小児の一次救命アルゴリズム
  ・刺激と反応の確認  優しく刺激(足の裏をとんとんとたたいてやる)
                「大丈夫?」と大きな声で
  ・外傷の有無と程度をすばやく確認 
      顔・首に外傷を負っている場合は動かしたり揺すったりしない!! 脊椎損傷の可能性があるときは頸部を保護
  ・気道の確保
      頭部後曲、あご先挙上
  ・呼吸の確認(10廟以内に)
     視て、聴いて、肌で感じて ほっぺで感じながら同時に胸を見る
  ・自発呼吸ないなら→人工呼吸  有効な呼吸(胸が十分に上がる)を2回送る
  ・循環のサインの確認
      運動(息・咳・動き)と脈拍
  ・循環サインなし→胸骨圧迫心臓マッサージ
      1回の換気に対し5回の圧迫、1分間に100回圧迫
 
      小児            心マ:呼吸  5 : 1  1分間に 100 : 20  
             成人・8歳以上の小児          15:2                  90 : 12
  ・継続、蘇生、AED

異物による気道閉塞の解除

  掃除機での吸引はエビデンスありません(小児において)。
  かえって嘔吐を引き起こして誤嚥して窒息のおそれがあり。

・気道閉塞の症状
   咳・嘔吐・喘鳴をともなう突然の呼吸不全
   声が出ない、しゃべれない、弱い咳、窒息のサイン(舌を突き出して喉を押さえる)

・咳を力強くしている場合
   咳や努力呼吸を妨げない
   呼吸困難が進行、反応が無くなったら 気道閉塞を解除してやる
・背部叩打法、胸部圧迫、腹部圧迫法
   乳児  背部叩打 5回背中を叩き、5回胸部圧迫(心臓マッサージの部位と同じ) を繰り返す
   小児  腹部圧迫法(Heimlich法)
             まず「しゃべれる?」ときく。
             背中に回るので、『助けてあげるよ』と声をかけて恐怖感を軽減してから行う
             へその少し上、剣状突起より十分下の高さで正中線上を後ろから手を回して突き上げる
             剣上突起や肋骨弓を触らない・・・内蔵損傷のおそれ
・異物が見つからないときは口に手を入れないこと。

小児救命の連鎖

・予防と啓蒙←アメリカは普及しています。日本はまだまだ。
・一次救命
・二次救命